Prophecy/Tokyo Metallize

速弾きは時代を映す鏡だ。

ヘビーメタルの歴史を紐解き、その時代がどんな色合いのシーンだったのかをイメージする際、僕はギタリスト達の顔ぶれを思い浮かべる。インペリテリ、ポール・ギルバート、マイケル・アンジェロ、ジョン・ペトルーシなどなど、時代時代それぞれのニーズに答えるべく、本当に幅広いジャンルのギタリスト達が出現している。

今回紹介するトーキョー・メタライズの出発点は2005年、ギタリストのEJがオーストラリア留学中にジェフ・ヴェーダーと出会った事が発端である。彼らは同じ大学の学生寮で日がなギターをかき鳴らし曲を描いて過ごし、これが後にHARD WIRED CANDYとしてサーファーズパラダイス界隈をに賑わすムーブメントへと発展していく。

時は流れて2020年、EJとジェフは再びインターネットを通じて曲を共作し始める。途中COVID-19でジェフの住むロンドンはロックダウンされカオティックな狂気が街の日常を静かに侵食していく状況の中、彼らを支えたのは共に作り上げた様々な楽曲達だった。サイケデリックな日々の中でメタリックな鋼のシャワーの如く音を紡いでいく、そのサウンド作りの工程が当時のその東京やロンドンの熱気を連想させたため、バンドはTOKYO METALLIZEと名付けられている。

彼らのデビューシングルとして突如ベールを脱いだ楽曲「Prophecy」はロックダウンの実体験であり、その場その場の体験全てが時代を逆流してその時代の現場現場へと我々を運んで行ってくれる。

現代の作品づくりらしくフィジカルな盤の製作は伴わずSoundCloud上で静かに公開された同曲はネット空間内に湯気が立ち込めるかのような存在感に満ちている。2020年、ロックダウン下のロンドンで深い霧が立ち込め、そこからジェフが姿を現した幻想の追体験である。
これこそがTOKYO METALLIZEの切り拓く新世界だ!と声をあげたくなる瞬間である。

Maniac/Art Nation

スウェーデンの産んだメロハーの新鋭、Art Nationの2ndから。

さて今回紹介するのはスウェーデン出身のメロディアス・ハードロックの新鋭、Art NationのセカンドアルバムLiberationから。

アルバムを通してメロディーの完成度が高くメロハー好きなら気にいること間違いなしの本作の中でも特にライブ映えしそうな一曲。

ヴォーカリストのアレクサンダーストランデルの素晴らしい歌唱力と緻密に計算されたアンサンブルは何度聴いても飽きがこない。

https://itunes.apple.com/jp/album/liberation/1226320660

The Evil That Men Do/Iron Maiden

とかく移り気な現代人のために敢えて名盤ではなく名曲、という単位でメタルクラシックスを紹介する新コーナー。まず初回は旬なアイアンメイデンから。

メタルファンのBLOGらしくこのサイトでも定期的にメタル楽曲のレビューをして行きたいと思うがサブスクリプション全盛でリスナーがアルバム単位ではなく楽曲単位で曲に触れることが多い今の時代を考えると楽曲レビューも楽曲単位であるべきなのかな、と考えた。

アルバムを買ってじっくり聞き込む昔であれば「お勧めはこのアルバム」というレビューの方が有難かったのだが今では直ぐに楽曲にアクセスできるので「お勧めの一曲を教えてくれ」というニーズの方が多いのではないかと思うのだ。

またその楽曲が歴史的にHeavy Metalの中でどういう位置づけでどういった歴史的意義があるのかというようなこともメタルファンの知識としては興味深いかも知れないがそれよりも今聴いて純粋にテンションが上がるのか?という点を重視し従来メタルを聴いてこなかった層にもメタルの良さを感じて貰える様なレビューを心がけたい。

前置きが若干長くなったけど今回はIron Maidenの個人的ベストを紹介したい。

彼らの7作目”Seventh son of seventh son”から「The Evil That Men Do」。

ギターシンセ大胆に導入したことで一部のファンからは「軟弱になりやがって」等々の批判を受けている本アルバム。同様の批判はJudas Priestが「Turbo」でギターシンセを導入した時にも見られた訳で新しいテクノロジーにアレルギー反応を示すメタル原理主義者というのはまぁどの時代にも必ず存在する訳だが今聞くと本作におけるギターシンセの導入はIron Maidenの楽曲の本質的魅力に全くネガティブな影響を及ぼしていないことが良くわかる。

何故か自分はTrooper,Power Slaveあたりから入ってしまいこのアルバムをじっくり聴いたのはつい最近なのだが何故もっと早くこのアルバムに出会わなかったのかと激しく後悔する傑作である。